2020年2月6日に鹿児島県頴娃(えい)町にあるゲストハウスふたつや、にて私たちの農業のミライ〜販売戦略編Part2〜が開催されました。
今回はゲストスピーカーとして、鹿児島県の北に位置する長島町諸浦(しょうら)で、「cocoromiso」というお味噌を作っている石元淳平醸造の淳平さんをお招きし
「どんな風にcocoromisoを製造・販売しているのか」
「どんな思いを持って味噌や仕事と向き合っているのか」についてお話しいただきました。
前回ゲストスピーカーとしてお話しいただいたフードビジネス総合プロデューサーの川野拓矢さんは、今回はファシリテーターです。
共に学び、共に考える仲間作り
一過性にとどまらない場作りを目指す「私たちの農業のミライ」
今回で、3回目の開催です。
▼過去開催した「私たちの農業のミライ」
・2019年2月 南九州市知覧(ちらん)にて
地域おこし協力隊と考える農業のミライ
・2019年9月 頴娃(えい)町 ふたつや、にて
私たちの農業のミライ〜販売戦略編〜
過去2回と同様に、頴娃町内外からお茶農家、とうもろこし農家、芋農家、養蜂家など一次産業に関わる方々はもちろん、
行政職員や地域おこし協力隊など、約15名が参加しました。
当日のプログラム
・主催者あいさつ
・会場全体で、アイスブレイク
・石元淳平さんプレゼン
・質問タイム
・淳平さんの行動を紐解いてみる
希望者のみ、懇親会へ
「未来のために、味噌をつくる」
石元淳平さんプロフィール
1980年生まれ。鹿児島工業高等科校卒業後にNEC→パイオニア→長島町緊急雇用対策事業〈沿道草払い〉
→地元の醤油・味噌屋 小川醸造に7年ほど勤務→2016年 石元淳平醸造設立・同時に家業の漁業を継ぐ。
定置網漁師とアオサの養殖と並行して、味噌作りも行っている。
今、必要とされている味噌、自分が作りたい味噌を作るために醸造所に勤めていた経験を生かし「ゼロ」から味噌作りを開始。
「食は時間を作る」という事を常に考え、心をこめて作っています。とても温厚で、人との繋がりを大切にしています。
cocoromisoが始まったきっかけは
「子どもたちがこの味噌を食べて育ち、大人になり故郷を離れ孤独と戦うとき、この味噌を食べて故郷の景色や家族を思い出す時間を作りたい」という淳平さんの思いから。
石元淳平醸造を設立した2016年当初は、思ったように味噌が売れず苦戦したこともあったようですが、
現在は施設をはじめ著名人からも注文が来るようになり、月に出荷する味噌の量は、およそ600kg。
今後は自社工場を整備し、月の販売目標を1tに。
また海外進出も視野に入れ、ニューヨークでの展示会も考えているとのこと。
▼当日のプレゼンに見る。
cocoromisoを表す、様々なキーワード
・心を醸す(かもす)
・食は時間を作る
・シズル感をわざと外す
・営業はしない
・商品商品しないパッケージ
・子どもたちの未来を作りたい
・圧倒的に味噌を作る理由がある
・やれることの全てをやってきた
・森を分析し、世界を知る
・cocoromisoの根っこを作る
・cocoromisoの価値を最大限発揮できる市場
・cocoromisoに価値を付けていく市場
・有名になろう
・枝葉を作る
・果実を還元する
・自分の力でまずやる
・時間を作る
・チャンスがありそうなものは、絶対に外さない
・どんな役割だったのか?
・子どもたちのためにできることは全部やっていく
・未来のために、味噌を作っていく
参加者からの、質問タイム
淳平さんのプレゼン終了後は、参加者からの質問タイム。
ー漁業と味噌屋さん、本業はどこにありますか?
漁業も大好き。1番になりたい。誰よりも魚を捕りたいと思っていて、それだけでもプレゼンできるくらい思いがあります。
境目はあまりないです。
ーテレビを見たり、寝る時間はありますか?
あります。ご飯も家族と食べています。
睡眠は隙間時間にちょこちょこ取っていて、トータルで5時間くらいは寝ていると思います。貯眠(寝溜めすること)ができるようになりました。
ー主な情報収集は?
YouTubeなど。今後はYouTubeでも発信していけたらと考えています。
ー取引において大切にしていることは?
Win-winの関係を大切にしている。お互いにとっていい関係を常に大事にしたいと考えています。
大体はwin-loseで、勝とうとしてくる人が多いです。
ー子どもたちの未来を作るための、次の仕掛けは?
2月からcocoromiso戦略プロジェクトを立ち上げました。4月には自社工場もできます。
販売目標をあげ、雇用を生み出し、海外にも進出していきます。
少しずつ確実に基盤を作りながら、次の世代の働きやすさも作っていきます。
淳平さんの行動を紐解いてみる
質問タイムの後は、ファシリテーターの川野さんより
一見すると「淳平さんだからできること」「cocoromisoだからうまくいった」と捉えられてもおかしくないほど、圧倒的だった淳平さんのプレゼン内容。
しかしそこには、農作物そのものや育てている個人の魅力をグーンとアップさせる、様々なヒントが散りばめられていました。
▼淳平さんの行動を紐解いてみると…?
明日の自分に活かせる、キーワード
・現代マーケティングの第一人者:フィリップ・コトラー
・「what(何を)」や「how(どうやって)」よりも「why(なぜ)」
・ゴールデンサークル理論
・著者:サイモン・シネック『whyから始めよ』
・whyを重視した、Apple製品
・自分が欲しいな、使いたいなと思うものを
・強みと弱み/得意、不得意は絶対にある
・戦える/戦いたいところで、いかにして戦うか?
さいごに
前回の「私たちの農業のミライ」では、フードビジネス総合プロデューサーの川野さんから、自分を知るための様々なキーワードをもらいました。
今回も淳平さんから様々なキーワードや問いかけをもらいました。
その中でそれぞれが大切にしている事業や、自分自身について見つめ直すような時間になったと思います。
「私たちの農業のミライ」は、これからの農業を考える仲間を見つける場として、一過性にとどまらない環境作りを続けていけたらと考えています。
共感する方は次回以降、ぜひともご参加下さいませ。
主催:NPO法人頴娃おこそ会
撮影:青木 健太朗(もの)
関連リンク/本
『フレンチシェフが作る「人生最高!」の肉じゃが』著:田村浩二
かざり
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